寡聞にして初めて読む歌人だった。
「心の花」を創刊したキーパーソンらしい。
海の歌人と呼ばれたらしく、ひかれている歌もほとんど全て海の歌かと思う。
昆布の葉の広葉にのりてゆらゆらにとゆれかくゆれ揺らるる鷗
かもめが何羽かゆらゆらと飛んでいる様子が目に見えるように伝わる。かもめの鳴き声すら聞こえてきそうなくらい印象的な歌だ。
岩にかぶさり岩にかぶさりゆさゆさに昆布の広葉は波にゆらぐも
全体的にリフレインや動詞のたたみかけと言った技法が使われていて、海のダイナミックな様子が伝わってくる。
この歌など、「岩にかぶさり」がリフレインされることで波のエネルギーや力強さが伝わってくる。
海っぽいリズムを確立していると思う。
また酒が好きだったらしく、
船窓のかげにしよればうれしくも波のしぶきのさかづきに入る
といった歌など酒を詠んでいる歌が面白い。
波が盃に入ったことをうれしく思うなんて、船の上で酒を飲んでいることを愉しんでいる様子がありありと伝わってきて、なんかいいなあ、と素朴に思わせてくる。