今年は敗者復活戦が、システム改変とレベルの高さによって非常に満足感があったので、これで敗者復活って、本線はどうなっちゃうんだ〜？！と思っていたら、最推しの令和ロマンがトップバッターになって涙流してる顔文字の気持ちになっていたんだけど（😭←これ）、トップバッターにしてはかなりの高得点をつけられていて、さや香が終わった時松ちゃんが令和ロマンよりも低い点をつけた時に、なんだかんだ松ちゃんの点の付け方って信頼できるんだよなあと思って、その時に俺のM-1が今年も始まったような気がした。
敗者復活戦に関しては、本当に素晴らしいシステム改変だったと思う。野田さんがずっと「これまでの敗者復活戦はなんだったんだ、これがいい」ということを言葉を変えていて言っていて好きだった。というか黒スーツ着てる野田クリスタルやばくなかったですか？そのあとも「8時間見るのは疲れた」と言っていていつもマヂカルラブリーは私が思ってること代弁してくれるのなんなんですか？好きです。去年までは敗者復活が終わったらお風呂に入って飯を食って本戦を待機してたので、当日そうじゃなくなったと知ってどうしたもんかいの状態だった。途中ニュース挟んだ時にファミマでチキン買ってくるという賭けに出たんですけどちょうどよかった。ニュース何分挟むか来年は教えてください。もし去年と同じく三組に投票できるシステムだったらば、トムブラウン、ニッポンの社長、ナイチンゲールダンスに入れていた。私はもうトムブラウンの漫才の虜です。最初の方で何で殺したのお前なのに「大丈夫ですか？！」なのっていう面白さがじわじわあったんだけど、途中「大丈夫です…カッ、カッ」って弓の音に変わるっていうのが挟まって、ああこれのためだったのね、という全く意味わからない理屈なんだけど何故か説得されてしまう強引さ。布川さんがシームレスに歌い出すたびにみちおが「おっ！」みたいに目を見開くの面白すぎる。正直本戦も含めて一番面白かったよ。
ナイチンゲールダンスは、女役やる方がコントの提案側で、かつキレ散らかしていて、女というステレオタイプを演じている感があまりないのが新鮮でよかったし、ボケが全部面白すぎてハマってしまった。一番好きだったのは「歌舞伎町の大手町の中野です」。ニッ社はシシガシラの本戦と何が違うのって言われると言葉にするのが難しいんですけど、ニッ社は「言うのはあかん」とされていることがもうとっくの前提になっている世界のネタなのに対して、シシガシラは「ハゲは言っていいのお？」っていうことを言うためのフリとして「今そういう言い方ダメです」が、フリなんだけどそこで引いちゃうっていうのがあると思う。敗者復活のシシガシラはその審査員にそれぞれ大絶賛されていたように、私もすごいなあと思って見ていて、2本目見たい！って思っていたから見れてよかったなとは思いました。*1あと面白かったのは20世紀（ファーストデビルの物語）、エバース（お前の下半身をケンタウロスにする）です。
本戦の話に戻る。令和ロマンの「全員で考えたくて」のときにくるまがしゃがむのが見事すぎて、テレビの前で感嘆してしまった。さや香が終わってから、その後ずっと令和ロマンを越えるような漫才を求めながら見ていたのだけど、中々そういった組があらわれることなく進んでいって、途中小田が「何をきょろきょろしてんの」って今田さんにつっこまれたのが面白すぎたんだけれども、最後に最推しのモグライダーが残って、VS令和ロマンなの？！ってまた😭←これになってたんだけど、モグライダーのネタ可愛くて面白くて見たかったやつだ〜って思って嬉しかった。ともしげが調子良すぎたから負けたってのはほんとうにそうすぎて、でも跳ねなくて悲しかったなあ。芝のターンが見本になっててこの通りにやってみ？っていう流れになってんのが面白かった。個人的にはダンビラムーチョのネタが結構好きで、塙さんが「芸」という言葉で肯定的に評されていたのが嬉しかった。本当にYOASOBIのアイドルがご年配にウケるのかは知らんが。あれは一人が伴奏を口で歌って一人が歌詞を歌うってのを同時にやる、結構難度の高いまさに「芸」だと思ったんだけど、それにしては絶妙な抜け感というか、二人のリズムがめちゃくちゃばちっとはまってるというわけでもなくて、歌がリズムのキーに引っ張られている感もあり、逆にそれが今やってる感があってすごくよかった。2010年に初出場した時のジャルジャルがやっていた「漫才が下手なやつ」の演出を少しだけ思い出した。さや香に関しては、松ちゃんが「53歳だと思ってた」ということを言っていたのが面白かったんだけど、それって「エンゾが実は53歳のおっさんである」という展開があんまり面白くなかったということを言っているんじゃないかと思っていて、私もこの展開について、そんなに面白くなかったなあと思っている。それは53歳だと留学しちゃダメなんだろうか？という引っ掛かり、勇敢なエンゾ(53)ええやん？ダメなのかなあという、さや香のそのあたりのセンスに、前回のファイナルの時*2のような限界を感じた。だからこそ私は2本目の見せ算の方が、私はさや香はそっち（からあげ4的な世界）の方が好きだけどなあ、と思う。「これは大学院の内容」とかすごく面白いと思う。んですけど、多分これを一本目にやってもファイナルには残れないんだろうし、優勝もできなかったし、そうだよなあ〜、と思う。さや香のセンスの限界というよりは、客を含むお笑い界隈の限界でもあり、そこを突き破ってほしいんだけど。
今年のM-1はもりあがりに欠けたなあと率直には思うわけだけれども、個人的に志らく師匠が勇退したのとともに志らく評価枠の芸人が出てきてなかったというのはあるのかなと思う。客重くない？って思ってたけど、ここ数年起きていたような場が一度ぶっこわれてその後揺れるように笑いが起きまくるという役割を担った組がいなかったし、実際審査員の言葉もずっと「もっとウケたら」とか「もっと笑いがあったら」というのが目立っていた印象。それが起きないくらい令和ロマンが面白かった、圧倒的だったということだし、今ほどドラマのなかった時代のM-1のような感じを受けながら、ファイナルであきらか客の笑い声が大きくて、客令和ロマン好きすぎるだろ、わかるけどwという気持ちだった。トップバッター不利説をひっくり返し優勝を掻っ攫った令和ロマンかっこよすぎるというか強すぎるというか、本当すごかったです。
以下ネタの備忘録。
令和ロマン 遅刻遅刻〜！って言ってぶつかるけど、校門どこ？ 648点
好きなところ:ネタの疑問設定、みんなと考えたいって言ってしゃがむくるま、裏門だ！って気づいてからこれじゃ面白くないっていうところ
シシガシラ ハゲは言っていいの？ 627点
好きなところ:ハゲは言っていいの？
さや香 ホストファミリーを飛びたい 659点
好きなところ:ブラジルに向けてメッセージを送る新山に届くとええなあと挑発するところ
カベポスター ずっとずっとゼリー 635点
好きなところ:「この中にずっぜりがいるわね」
マユリカ 倦怠期 645点
好きなところ:「ズッキンズッキンぷっちんフリンです！ポンピーン」に発狂する中谷
ヤーレンズ 変な大家さん 656点
好きなところ:デデンからのNetflix
真空ジェシカ Z画館 643点
好きなところ:帽子パカパカするところ
ダンビラムーチョ カラオケボックス 631点
好きなところ:アイドル、えなーモード
くらげ 正解のないアキネーター 620点
好きなところ:正解のないアキネーター、レメルヴェイユーズラデュレ？ちがう。レメルヴェイユーズラデュレリキッドリュージュ？
モグライダー 錦野旦 632点
好きなところ:一度芝が見本を見せるターンがあるところ、芝が歌い上げてにこにこしているともしげ
ファイナル
令和ロマン 町工場
好きなところ:たっぷり溜めて「単純作業ばっかでつまんねえなー」、「拍手広がらず」、「トヨタにはこんな人はいません」
ヤーレンズ ラーメン屋
好きなところ:ラーメン注文されて「はい、よろこびそー」
さや香 見せ算
好きなところ:大学院レベルの内容があるところ
令和ロマンの連覇が見たいです。
追記
お笑いを批評の場に乗せることについて、私のブログもそういう文脈にのっているという自負がもちろんあるわけだけれども、このことを嫌うお笑い芸人やお笑いファンは少なからずいる。それでもなぜ批評めいたことをするかといえば、批評の言葉がお笑いというものを救う唯一の方法たりうると思っているからです。別にお笑いを救わねばならないシチュエーションとやらが本当に訪れるかどうかは知ったこっちゃないが、お笑いというものがたとえば「非難」に晒された時、そこからお笑いを掬い出せるのは批評の言葉しかないと私は思っている。まあそんなことは置いておいて、こんだけM-1もお笑いも超人気コンテンツだというのに、「おもしろM-1感想文」が世の中にないのは悲しい現実としてありますね。
