アイスクリームと獅子

好きなものの話、身勝手な文芸

社会人3年目にしてようやく仕事に慣れてきた

SE(システムエンジニア)になってから3年目になる。
ようやく仕事に慣れてきたなと思うと同時に、仕事に慣れるまで2年もかかるなんて思ってなかったのだという話がしたい。

2年目の一年間はすごく苦しかった。
メンタルの調子もおかしくなったし、身体の様子もずっとおかしかった。
腹痛頭痛発熱が今までにないくらいのスパンで訪れたり、寝付けなかったり朝早く起きてしまったりして睡眠不足に陥ったり、蕁麻疹が出たりした。
メンタルが落ち、理由がわからないけれどしんどくて辛くて涙が止まらなくなったりした。
都度それぞれへの対処はしていたけれど、それについてはここでは書かない。

どうしてこんなにしんどかったのかと振り返ってみると、まだ仕事に慣れていなかったから、だと今は思う。
人間関係に悩まされることも全くなかったし、残業はそれなりに多くなったりしたこともあったけどそれが直接的な原因だとは思えなかった。

ここでSEの仕事について少し話したい。
SEとひとくちに言ってもその業務内容は人によってまちまちだから、私が普段どんなことをしているか、という話になる。
SEというのは言うまでもないかもしれないが会社とか個人が使っているシステムを作る人のことだ。
たとえばあなたがインターネットで買い物をするとき、買いたいものを検索したりカートに入れたり自分の情報を入力したりするだろう。ああいうものを作っている。
つまりシステム屋さんでシステムを作っている人というわけなのだが、システムを作る人がやっていることは実に多様である。

システムはプログラミングをして作るわけだが、私がやっているのはプログラムを書くことだけではない。
プログラムを読んだり、これから作るものがどのようなものなのか理解したり人と話したり、仕様をまとめたエクセルを作ったりする。
プログラムを書くためにどうやって書いたらいいのか検索して調べ、実際に書いて動かしてみるとエラーが出るからそのエラーを解消するためにまた調べる。
実際にシステムを作り上げたらちゃんと動くかどうか検証する。
検証するための手順や内容をまとめてエクセルを作る。エクセルに書いたとおりにシステムを動かし、正常に動いていることの証拠にスクショをとってエクセルに貼る。
検証には何種類かあるのでそれぞれのエクセルを作る。

エクセルを読んだり書いたり、プログラムを書いたり読んだり調べたり、エクセルを読んだり書いたりしているうちに、一つの案件が終わる。
一つの案件が終わったら、また別の案件が始まる。
これを繰り返している。

この一連の流れを経験し終えたのが、2年目の冬頃だった。
3年目になってようやく、その繰り返しを「何度か経験している状態」になったのだ。
1年目は何もかもが初めてで、何もわからないまま時間が過ぎたような感じだった。
2年目の一年間は、何もわからない訳ではないが、まだわからないことのほうが多いという状態だった。
でもそれも今だからそう分析できるだけで、当時の自分からしたら自分がどれ位できていればよいのか、この先どのようにすすめていくのか、このやりかたで合っているのか、という不安を抱えながら、ひたすらやらなければならないことを消化していた。
今になってようやく、あんなに苦しかったのは「まだ慣れていなかったから」だったと気づいた。

3年目になって、自分なりの仕事の進め方や、先々のスケジュールがどうなっているかといったことに、意識を配らせることができるようになったという実感がある。
これがSEとして遅いのか平均的なのかどうかはわからないが、2年目の自分が今の私の様子を知っていたら、あんなに焦燥感に焦がされて枯れかけることもなかったかもしれない。
システムづくりは大まかには同じ流れを繰り返すし、永遠と自分のやったことのないことに取り組まなければならないというわけではない。
他の仕事も同じだと思うが、やればやるほどできることは増えていくのだ。


結論が当たり前すぎる。
というかずっと当たり前のことを言っている。

しかしその当たり前のことがわからなかったのだ。
だから自分の体調や季節に振り回されて、どうしたらいいのかわからないまま仕事にも振り回されてどんどん疲弊していく。
木曜日のパフォーマンスは下がるから負荷の高い仕事を後回しにするとか、
16時以降は頭が回らなくなってくるから明日の準備や作業系の仕事をするとか、
朝一で急に頭は働かないからウォーミングアップになるようなタスクからはじめるとか、
そういう計画を立てることができない。

情報として「そうするといい」ということをわかっていたとしても、実感と実践に落とし込むことができない。
私はできなかった。
そして何ができないのかもわからなかったし、なにが辛くてしんどいのかも全然わからなかった。

仕事にせよ生活にせよ、本当に細かい行動や決断や選択の集合であり、そのどれも、当たり前のことであっても当たり前にできるわけではない。

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皆もっと仕事の話をしたらいいと思う。
それぞれいろいろな仕事をしているはずなのに、あまりこういう仕事をしている個人の素朴な実感が書かれているものに出会えることってほとんどない。
具体的なエピソードは書けないかもしれないけど、もっとみんな自分が何屋さんで何をしているのかくらいは言ってくれたらいいのにな、と思う。コメントとかブックマークとかで教えてくれたら嬉しい。
もしそういう記事を書いている・あるいは書いてみた人やそういう記事を知っている人がいたら、コメントにURLを貼るとか、この記事を言及してくれたら飛んで読みに行くのでよろしくお願いします。