アイスクリームと獅子

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lionなのはわかっているよ

トイストーリー4ネタバレ感想

彼女は大丈夫だ

クライマックスシーン、バズがウッディに言うセリフである。*1
彼女はボーのことではなかった。
再度バズは言う。
「ボニーは大丈夫だ」
と。

大丈夫、という言葉に、本当に最近よく出会うな、ということを考える。
天気の子のクライマックスで流れる曲も、「大丈夫」というタイトルだった。

トイストーリーは私がディズニーの中で一番好きな作品だ。私にとっては3が最高すぎて、4が公開すると知った時は、「あれ以上があるのか?」と懐疑的だった。
だが。


いやー、やってくれたなあ!!


友人が言っていた「あのために今までのトイストーリーがあったのだと思う」という言葉を思い出す。*2


無限の彼方へさあ行くぞ、と二人が言うラストは、もうこのラストがこのラスト以外はありえないのだと思わせる説得力の塊だった。

内なる声を聞け。

物語の中でずっと繰り返されていたセリフである。
ウッディは内なる声をきいた。そしてそれに従って行動した。
そしてそれを、仲間たちは、受け止めた。


見たか、あのバズとウッディの長い長い抱擁を!


これだよ、私はこういうのがみたかった。
こういう物語を私は求めていた!


別れというのは一体全体、どうしてこんなにも胸が痛むのだろう。
別れ……今ふっと出した言葉が、トイストーリー全編に通底しているものとしてあるように思う。


私ははっきり言って、車が発車するまで、ウッディが今までの仲間たちと別れ、ボーとともに遊園地に残ることを信じたくはなかった。
ウッディがフォーキーに「さようなら」と言った時も、まだ信じたくなかった。
嫌だ、そんなことあっていいものか、だめだ、ウッディ、ボニーのところにいなかったら、アンディにももう会えないんだぞ。
ウッディ、それでいいのか、本当にそれで……。

だが。
だがウッディはこれから、世界を見るのだ。
あまたの子供とおもちゃと出会い、新たな仲間たちとともに子供とおもちゃのためにその身を使うのだ。
子供のためでなく、自分のために。

そうか、それでいいのだ。
それで、いいんだよ。
そうだろう。


何よりも、終わった時に思ったことは、寓話として最上すぎるということだった。


別れ。
自分がしたいことをやるには、やっぱり何かを捨てなければいけないんだろうか。
何かを手に入れるためには、やっぱり何かを失わなければならないんだろうか。
変化するためには……。


私は、2つの映画を思い浮かべていた。
秒速5センチメートルと、千と千尋の神隠しだ。
秒速5センチメートルは、今学祭に出す会誌を作るためにここ数日間ずっと考えている。なんの映画を見てもおそらく今の私なら秒速5センチメートルと比較して何かを語ろうとするだろうというくらい。
千と千尋の神隠しは、この前金曜ロードショーで見たときに、初めて感じたことがあった。
2つに共通することは、いうまでもない、別れだ。

秒速5センチメートルはバッドエンドか否か、といったことが、面白い論点として1つあると思う。バッドエンドの代名詞のような扱いをされている面もあるが、新海誠自身はそういうつもりはないらしい。それは、彼の物語はこれから先も続いていくからだそうだ。
私は、全ての物語が、バッドエンドやハッピーエンドといった言葉で括ること自体ナンセンスなのではないか、といったことを考えている。
簡単にバッドエンドやハッピーエンドと言えるような話を、私はもはや求めていないのだ。
ソースが微妙なのだが(ご存知の方いたら教えてください)新海監督は秒速5センチメートルのラストについて、「貴樹は初恋の思い出を捨てて前へ進んでいく」といったことを述べている。
そう、彼は明里と別れ、前へ進んでいくのだ。次なる一歩を進むために。

そして、千と千尋の神隠し
この映画って、千尋湯屋で気の合う仲間と出会って、それで別れるっていう話なんだなって、やっとこの前理解した。
金曜ロードショーのデータボタンを押したら、宮崎駿自身そういうことを考えて作ったのだというコメントが書いてあって驚いた。
自分の存在価値を感じることのできる場所から離れていく。それは仕方のないこと。
どちらかしか選べない。


そしてトイストーリー4。
まさにそういう問題を孕んでいる。
別れ。
ウッディの存在価値は、ボニーの家にはなかった。
ウッディはむしろ、自分の存在価値を感じることができる場所へと移動することで、自分の大切な仲間と別れることになる。
どちらかしか選べない。

どちらを選んでも、ハッピーエンドでもバッドエンドでもない。
それがリアルというものだろう。
どちらを選んでも切なく、悲しく、そして新たななにかが待っている。

ああ、だから私はトイストーリーが好きなのだ。
良し悪しが割とはっきりしているディズニー作品だが、トイストーリーという作品はそうではない。


このエンドは、このエンドしかあり得なかったのだ。

無限の彼方へ、さあ行くぞ。

*1:バズは全て分かっている。彼らの友情が素晴らしい

*2:私はもう前作を見るたびにしんどくなってしまうだろう