アイスクリームと獅子

アイスクリームと獅子

lionなのはわかっているよ

私はバンドのギターで、ボーカルの男と付き合っている。
その日はいろんなバンドが集まって自分らの曲をパフォーマンスするイベントがあった。
ライブハウスなのに椅子がたくさん置いてあって、待機中はそこに座る。あくまでコンテスト、ということらしい。でもやっぱり少し変だ。
私たちの出番は二番だった。あんまりいつものように受けそうにないなと思っていたけど、本当にそうだった。あんまり、佑樹のMCは受けなくて、なぜか最初の私の紹介〜!みたいなとこが少しだけ受けた。
演奏はまずまずだったと思う。席に戻って、「私、ここからここまでの記憶が飛んでる。これが終わったあと急にこれに飛んだ感じだった。」と言ったら、「ふぅん…」と言われた。
「前そんなこと言ってなかった?佑樹」
「……ああ」彼は口角を少し上げ、「集中しすぎて時間経過が早くなるって」
そう言うと、すぐに反対隣のベースの貴と笑いながら話す。
「あ、でもさ」と私の方に向いた時、次の演奏が始まって、私は口に人差し指を当てた。佑樹も同じことをして、二人こそこそ笑い合った。
椅子の間隔がとてつもなく狭くて、隣の人の肩が当たる。……佑樹の肩にもたれたら、彼はどう思うだろうか。
今日の目標、手を繋ぐこと。
と思って家を出たけど、やっぱり無理そうだ。
帰り道のバス、混み合っていて全然違うところに座りあった。
彼がいつもと違うバス停で降りた。えっ、と思って慌てて後を追った。
「佑樹、家どこだっけ」
と声をかけるが、反応がない。
「ゆ、」
「家?」
うん、とうなづく。
「あ、」
全然こちらを見ない。
「もしかして…一人になりたかった?」
うん、と今度は彼がうなづいた。
「ごめん」
と謝って走り出した。
家について部屋への階段を上る。
……うまくいかない。



という、夢を見た。
うまくいかない思いだらけだ。
彼氏もバンドも虚構だが、切なさだけがやけにリアルだった。

うまくいかせようとして、大抵失敗する。
自分の欲求を先行させて、相手を顧みないからだ。
うまくいかないものは、多分どうやってもうまくいかない。
だけどなんか、それが愛おしいなと思った。
うまくいかないことをうまくいってほしいと願ってしまう私たちが愛おしい。