アイスクリームと獅子

気にしないでください

吐きそうになる程、私には何もなかった。
何もないから、吐こうとしても何も出てこないのだった。
私の中には何もなかった。
これだけ生きづらくても、天才にはなれなかった。
才能があるかないか、天才はみんな、自分には才能が無いのだと言う。
だが私に言わせれば、テレビに出て仕事ができているとか、CDを全国で売ることができているとか、歌集が全国の本屋に並ぶとか、それは才能でしかないじゃないか。
それが才能があるということを立派に証明している。
私は今、何もないを必死に吐き出しながら、学校へ行く電車の中にいる。
私と彼らを引く線は一体どこにあるだろう。
病院へ急ぐ。
それでもうまく生きることができれば、病院へ行く必要もないのだっていうことくらいわかる。
信用できない。
自分が何者でもないことを、自分は何者かであることを。わかりたくないと思う。わかってもわからないから。
普通に生きられない人たちがいて、私はその人たちに共感して、でも私には何もない。
昇華できる術がないというか、昇華すべきものは私の中に何もなかった。
何もないという安心感、と誰かが言った。
何もないという絶望感、と他の誰かが言った。
天才は早死にするらしいです。
でもそれは何の天才なんだろうね。
早死にすると人は人を天才にするのだろうと思う。
早死にの天才。早死には才能。