アイスクリームと獅子

美しいものと美しくないもの

ダ・ヴィンチ12月号 「星野源と、思考」を読んで

星野源の良さには、随分前から気づいていた。
逃げるは恥だが役に立つ」というドラマが大ヒットし、週に一度はテレビで星野源の「恋」が流れたあの数ヶ月間。
私はテレビの外から「星野源ってすごいんだろうなぁ」と漠然と思っていた。
「俳優もやって、曲もかけて、楽器も弾けて、声優もやって、確かエッセイも書いているよな?なんでもできるじゃん。それと、一回病気になったんだっけ?そっから這い上がってこれだもんな。……すごいなぁ」
でも、その時、ひねくれていた私は「恋」があまり好きではなかったし、本当には、星野源の良さに気づいていなかったのだと思う。
だから、その後に出た、「ドラえもん」というシングルが、私が彼にハマったきっかけだと言えるだろう。はじめ「ドラえもん」というタイトルを目にした時、「思い切るなあ」と思った。ところが何度も聴いている(聞こえてくる)うちに、そのタイトルがあえてそうなっているのだろうということに気づいた。そっからが早かった。
星野源ってどんな人なんだろう」
私の中にもともとあったその疑問がすごいスピードで膨れ上がり、気がつけば「蘇る変態」を読み終わり、「stranger」と「YELLOW DANCER」の楽曲を聴きまくっていた。

「蘇る変態」を選んだ理由は、病気の療養生活のことが書いてあるからだ。
一度生死の境目を彷徨った人間がどんなことを考えて生きていくことを決めたのかが一番気になっていた。どうしてあんなにも生に対して輝いているように見えるのだろう。
私のような、大した努力もしていないくせに世の中が生きづらくって仕方ない人間に教えてくれ、という気持ちだった。


そしてつい先日のアイデアのMVに、私は私を生きていこうと思った話は以前に書いた。


そして、11/6発売の「ダ・ヴィンチ」である。
星野源と、思考」と銘打った特集は、星野源の魅力と、彼の仕事への誠実さがこれでもかというほど伝わるようになっている。
一つのものを作り上げたり、新しいことをしたりということに対して、熱量がものすごく高い。なのにその熱量を押し付けない。自分がしたいことをするために、冷静に、客観的に、考え抜くという姿勢。ものすごく純度の高い、青い炎が燃えていることを感じて、泣いてしまった。
その裏に、「いのちの車窓から」に書かれているような、暗い暗い葛藤があったことを知り、また泣いた。

それはもう、生に対する熱量だと言っても良かった。生きること。生きていくこと。
ただ水を飲んで呼吸をしているだけで、生きてゆくことはできるかもしれない。
でもそれは、本当に生きていると言えるのだろうか?

一度生死をさまよった彼にしか描けないものがそこにはある。
生きて行くことはたやすくないのだということ、だからこそ生きてゆくのだということ。
星野源は私にそれを教えてくれた人だ。