アイスクリームと獅子

美しいものと美しくないもの

トリプルファイヤーのこと。Part3

これの続きです。

#21 カモン

めっっっっっっっちゃ好き。ちっちゃいツがまだ足りない。
ライブハウスに行くと、だいたいのバンドマンは、客を煽ってくる。
手あげろー!!体揺らせー!声出せー!みんな!もっといけるだろ!こんなもんじゃないだろ!みんな最高!

私は何度かライブハウスに行ったことがあるけど、毎回繰り広げられるバンドマンのこういう熱さが、ぶっちゃけ面倒で。なんで?なんで好きでもない曲に、手あげたり、体揺らしたりしないといけないんだろう…。そもそも、手をあげたり、体を揺らしたりするのは、言葉じゃなくて音楽で、自然とそうなるものだから、言われると急にガン萎えるわ……。まあ一応手あげるけど……。

めんどくさいのはお前だよ、というツッコミはなしです。
で、カモン、この曲は、この煽りが、さっき書いた煽りが歌詞になってる。最初聴いたときは、楽器隊の前で煽ってんのかと思ったけど、あまりにずっと言ってるし、客が全然手あげてないから(笑)、曲だってわかった。
で、この曲を、岡崎体育イデオロギー(よくある邦ロック風刺的な)というのは簡単なんだけど、私にはそういう話でもないような気がしていて。
じゃあ何と言われると言語化できてないんだけど。もちろん風刺的な意味は含まれるとは思うけど。ここまでやってたら意識は絶対あると思うし。
でもどうなんだろう。わからないな。本当に吉田は手をあげてほしいのかもしれない。

ただ言えるのは、私のような人間にはすごく優しいということ。ライブに行って手をあげずとも、いいんだと思える。UNISON SQUARE GARDENにもそういうところがあって、私は彼らのそういうところが好きだ。
ニゾンとはまた違うのは言わずもがなだけど。

みんな両手あげて声を出して体を揺らしていたから
俺はみんなと同じように体を揺らした
その場にすごく馴染んでいた
全く違和感がなかった
客観的に見てそれはダンスだった

やっぱり、ここを聞くとただの皮肉ともとれないと思うのだ。
まっすぐすぎるんだろうか。
全く何もわかっていない人間が、ライブハウスに放り出されて、みんなが手をあげているから手をあげる。
人間としてどう考えてもおかしい。
「客観的なダンス」という言葉の並びがもうおかしい。不穏でさえある。
何が正解なのかわからない。それがものすごく面白い、と私は思うのだ。

#23 野球選手になるために

絶対野球選手になるために
しなやかな筋肉をつける
しなやかな筋肉をつけるため
良い肉毎日食わないといけない
先にやっとくことがある
先にやるべきことがある
良い肉毎日食い続けるための一定のお金がかかる
安定したお金稼ぐため
またシフト増やさないといけない

この歌詞すごいと思うんだよ。
なんでこうもずれてくんだ、という話なのに、なんでこうもずれてくんだ、と聞き手に思わせない。
ずれていってることを完全に自覚している。一体どこにこの人はいるんだろうって思う。絶対野球選手になる気ないのに、「絶対野球選手になる」って言ってるのが面白い。
逆に、これで本気で野球選手になれると思っているならそれはもう一番面白い。

#24 スキルアップ

私が高校生の時に聴いて「なんっじゃこりゃ」と思っていた曲、この流れで聴いたら超かっこいいし超好きだ。なんなんだこの曲。

ピーって笛が鳴ったんで
一番大きいボタンを押した

から始まるのが衝撃的だ。鳴ったんでって。なんで鳴ったんだ。そしてなんでボタンを押すんだ。笛が鳴ることとボタンを押すこととの因果関係がまったくわからない。なのに「ので」という順接で二つの事柄がつながれ、最後までわからないまま終わって行く。
そこから棒を突き刺して、風船を膨らませるだけのプロセスを謎に描いて(最初笛がなるところからスタートするという謎っぷり)スキルアップしていくという歌詞。最終的には確実にスキルのついた主体が大きな現場を任されるようになり、ありがとうございます!と連呼する。
まじで、意味が、わからない。ナンセンスなのかこれは。シュールレアリスムなのかこれは(知らない)。
何より言葉のセンスが良すぎる。

ゲートの奥に進んだ一際目立った
絶対これだってレバーがあるから
お前がそれをちゃんと引くと
風船が膨らむ 風船が膨らむ
風船が膨らむ 風船が膨らむ
スキルアップ

歌詞にそんな言葉使っちゃうんかいって。
意味がわからないのに、盛り上がって終わって行く。ありがとうございます!に歓声をあげてしまう。

#26 こだわる男

最後。まとめもしつつ。

笑ってしまう歌詞が多い。これを書いてる間、なんども歌詞を見ながら笑ってしまった。

誰にも選ばれてなくても
特別な才能なんてなくても
職人こだわりの塩で天ぷら食べれる

なんだそれは。と思わず突っ込んでしまう。

#0 終わりでーす

歌詞について言及していったつもりなんだけど、どうだろう。
歌詞について話せば話すほどなんだか違うような気がしていたのであまりそういう感じでは書かなかった。
例えば、こういう歌詞を見て、「くだらないような言葉だけど実は深い」みたいなことを言うと一気に胡散臭くなると思うんだよね。
深いとか、皮肉めいてるとか、自己肯定とか、っていってしまうのは簡単なんだけど、そのどれもつかめているようでかすってもいない感じがどうもする。
深いというより、「当たり前すぎてみんな見失ってること」なんじゃないのかなって私は感じる。目の前にあるのに、目の前にありすぎるからわからない。見えない。そういうものの発見。
それは不安定で難しそうに見えるけど、きっと単純なんだろう。
なんだかよくわからない感じになりましたが終わりでーす。