アイスクリームと獅子

美しいものと美しくないもの

朝井リョウ「時をかけるゆとり」

ユーモアセンスがリトルトゥースだわ、という表現が散見。
いつからリトルトゥースなのかは知らないが。
(あ、リトルトゥースっていうのは、オードリーのオールナイトニッポンのリスナーのことです)

さらっと読めてさらっと笑えて、やっぱりエッセイっていいなぁ。
エッセイと純文学しか読めない人間になってきてる最近。

直木賞を受賞してスカしたエッセイを書く、もう何度も鳥肌が立ってしまって。カッコつけとか晒すとかって言ってるけど、いや、クオリティの高さね。当たり前ですが。
今まで散々ふざけ倒して自分にツッコミを入れ続けた文を書いていたのに、カッコいい文章が普通にカッコいい。どっちもできる。
比喩とかがやっぱり作家なんだよね。カッコつけてはいるんだけど、「うわーかっこつけてるわこの表現〜」ってならない説得力があるんだよね。なんなんだろう。
稚拙じゃないし推敲されてるからかなぁ。

私はそのとき、はっきりと自覚した。そして、全身をぐらぐらと揺らすようにしてその酔いを楽しんでいる自分を、とても誇らしく思ったのだ。酔えるくらい、好きになれるものに出会ってしまった。それがとても嬉しかった。

242p

自分に酔ってんな〜と思うとき、割と自分否定寄りの思いなんだけど、朝井リョウは違うんだね。それになんかやられたわ。確かにそうだよなって。酔えるくらい楽しいんだよなって。私はその感覚を手に入れることはできなかったなって。

自分が小説家を諦めたことは、特になんとも思ってはいないんだけど、少し考えてしまったな。

担任の先生とのやりとりが素敵。
今までは赤ペンで書かれたものが黒いペンになる、という、ペンの色の変化で、自分と他の人が同じ人間であることを知る。
とてもまっすぐだなと思った。

印象に残ったのはそれくらいなんだけど、本当にだからさらっと読めた作品だった。