アイスクリームと獅子

美しいものと美しくないもの

村田沙耶香「コンビニ人間」感想

一気に読んだ。
おススメです。


普通とは一体何なのか?
世の中って本当に、「普通になれ」という暴力が蔓延している。
なぜなのだろう。



学生でも主婦でもないのにアルバイトをしていれば、疑問をぶつけてくる。
恋人がいなければ、簡単に作りなよと言う。
結婚しなければ、なぜか欠陥があるように思われる。
子供を産まなければ、国のお荷物扱い。


そうだよね。私もそう思う部分はあるよ。
何でだろう?って思っちゃう。
なのに、そういう疑問が本当に嫌だなって思う。
別にいいじゃん。アルバイトだろうが恋人いなかろうが未婚だろうが子供いなかろうがいいじゃん!!って。
普通って、誰がどこで作り上げたんだよ?って。
それだけで、普通じゃないって言って、無駄に他人に干渉してくることへの違和感。


この本では、普通じゃないとされる人物が2人登場する。
主人公の36歳女と、30歳無職の男白羽。

主人公は自分が周りと違うことの自覚がなく、対して白羽は自覚があり、生きづらさと不満を噴出させる。
白羽は普通になりたくて、でもなれなくて、なのにいざ自分の望みが叶うことになるとタジタジして、結局文句言いたいだけじゃん、って思う。だから読んでてただただイラつくのだけど、私も白羽と同じこと思ってるな、文句だけ言ってる側だな、嫌だなって思う。
それを主人公は客観的に分析している。2人とも置かれている環境は似ているのに、それをどうも思っていないかのような主人公はより異常なのを感じさせる。
なのに、主人公のモノローグに納得する自分がいる。


2人は現代の社会を、縄文時代のそれにたとえていくのだけど、それと語られていく彼らの周りの異常性みたいなものの描き出し方が本当に見事としか言えない。
しかも、全然難しい言葉使わない。多分、小学高学年の子でも理解できる語彙。

女であること、男であること、獲物を狩ること、子供を産むこと、それができなければ、まるで異端のように扱われること。
詳細を話さずとも、人間は自分が解釈したいように解釈して、人の話を勝手に自分の理解したいように理解すること。
多様性を認めようと言いながら、まるで変わっていない現状。

特に、主人公が「家に男がいる」と言っただけで、周りの人間が狂喜乱舞するシーンはリアルが過ぎて、私の中のリトル白羽が「これだからマジョリティは……」って言うてました。



どっちが普通で異常とか、そういう、二分にしか物事を考えられない。
白か黒かでしか物事を測れない。
既婚か未婚かでしか人間を判断できない。
その異常性。

私にとっては、そういうことが書かれてる本でした。