アイスクリームと獅子

美しいものと美しくないもの

星野源 「地獄でなぜ悪い」について書きたい

星野源地獄でなぜ悪い
この曲はどうして自分の胸をこんなにも打つのだろうか。


星野源が闘病生活を綴った「蘇る変態」を読んでいることを一応言っておこう。


地獄、それはふつうに考えれば死後の世界。しかも、現世で悪いことをした人間たちが行くとされている世界だ。
地獄に落ちたくないがために、人間は現世で良い行いをしようとするほど、酷く苦しく辛いところ。

ところが、この曲では

無駄だ ここは元から楽しい地獄だ
生まれ落ちた時から 出口はないんだ

と、何もしてないのに我々がいる世界を地獄だと言ってのける。
ところがそれは、地獄と現世が逆転している私のような人間には、納得できる比喩。いや、もはや比喩ではないのかもしれない。
つまり、生きることが辛い、死にたいと思うほど。こんなに辛いなら死んだ方がましだ。という人には、この世が地獄のように思えても何ら不思議はない。



自分たちが生きてる世界。
私はネガティブである。おそらくこのブログの記事をいくつか読んでいただけたらわかるだろう。
だから、この世界を、なんの疑いもなく素晴らしいとは言えない。
手放しで、自分がこの世に生きていることを喜ぶことはできない。


よく、「考えすぎだよ」「そんなにネガティブでいても何の意味もないよ」と言われる。
色々なことを手放しで楽しめないのを非難されているみたいだ。

私は、無意識なりとも常にこう思っていたのだ。「どうやら、とにかく楽しむことができる人間が勝つらしい」と。



だが、

ただ地獄を進むものが 悲しい記憶に勝つ

である。

この世界を地獄だとした上で、その世界を生きることを全肯定する。
悲しい記憶は、人それぞれ必ずあると思う。
私にもそんなものがあって、ああ、私はこの地獄を進んでいれば悲しい記憶に勝てるのか。
わざわざ世界を素晴らしいと思わなくても、楽しいと思わなくても、勝てるのか。

私は、この曲を聴くと肯定されたような気分になるのだ。






追記
「楽しい」というのを無視しているような感想を書いてしまったけど、この「楽しい」っていうのも、言語化できないけどとても好き。
この曲自体の曲調も、めちゃくちゃ楽しいし。
何より題名が、「地獄でなぜ悪い

世の中を地獄に思うほどのネガティブを超えて、「地獄でいいじゃん、楽しいじゃん!」っていう、そういう強さ。
それが、星野源が歌うことで一ミリも嘘っぽく思えない。
説得力が強すぎる。


それから、「花が笑う」っていう使い古された比喩の使い方がとても綺麗なのが好き。
「どこまでもがいつのまにか音を立てて崩れる」っていうのも、象徴的なんだけど、私の中で「こういうことだ」ってぴたっとくるものがあって。

そういう理由でこの曲のことがとても好きということを残しておきたかった。